2025年4月、イスラエル軍の空爆で命を落としたパレスチナ人フォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナ。本作は、遠くフランスから彼女を見守ったイラン出身の映画監督セピデ・ファルシが、約一年にわたり続けたビデオ通話の記録をもとに紡いだドキュメンタリー。
ガザに入ることができない監督と、封鎖された街から出られないファトマ。互いに自由を奪われた境遇の中で、二人は映像を通して深い信頼関係を築いていく。
空爆と飢餓のなか、それでも日々の輝きを撮り続けたファトマの姿が、スマートフォン越しに静かに刻まれる。やがて爆撃は彼女の身にも及び、交流の一年は思いがけない結末を迎える。
戦火の影で生きる一人の女性の眼差しと、それを受け止めようとするもう一人の女性の姿を描いた、切実な証言の記録である。
監督
セピデ・ファルシ
製作
ジャバド・ジャバエリー
ガザ写真
ファトマ・ハッスーナ
キャスト
セピデ・ファルシ
ファトマ・ハッスーナ
<劇場情報>
ヒューマントラストシネマ渋谷
シネ・リーブル池袋
テアトル梅田
観たけど正直めっちゃ苦しくなる内容だった!
最初のほうのファトマ、信じられないくらい元気で明るいのね。戦時下とは思えないくらい前向きで、本当に戦争中なの?ってくらいのレベル。
でも半年くらいインタビューが続いていくと、あの明るさの奥に、ちょっとずつ悲しみとか怒りとか、隠しきれない感情がにじんでくるのが分かってさ。
セピデ監督がその変化を自然に引き出すのが本当にうまい。
作品の中には、目をそらしたくなるほどショッキングな写真も流れるのよ。
崩れ落ちたビル、爆風で吹き飛ばされたであろう“人間の手”。
たった25歳で亡くなったファトマが、自分の目で見て、自分の手で切り取って、世界に伝えようとしてた“戦争の現実”が容赦なく映ってくる。
空爆がすぐ隣町で起きてる映像もあって、「世界を見たい」と言いながらも「離れたくない」葛藤とか、彼女の中にある強い信仰心とか、私みたいに信心深くない人間には完全には理解できない部分も正直ある。でも、それが“宗教と戦争が絡む現実”なんだろうなって思わされた。
でさ、セピデ監督がパリのすてきな邸宅で暮らしてたり、カナダやモロッコに行ったりするって発言もあって、その豊かな生活とガザの現実がめっちゃ対比になってて、そこもまた作品の深みになってる感じがした。
重いテーマだけど、すごく大事な視点をくれる映画だったよ。